蘇民将来(そみんしょうらい)ってなに?
蘇民将来(そみんしょうらい)とは、各地に伝わる説話や伝承に登場する人物名です。その説話や伝承が基礎となって、蘇民将来は災厄を払い、疫病(えきびょう)を防ぐ神として今も広く信仰されています。そして、この民間信仰の代表的な例を、京の夏の風物詩である祇園祭(ぎおんまつり)に見ることができるのです。
祇園祭の山鉾(やまぼこ)では粽(ちまき)が授与(じゅよ)されますが、粽に付けられた紙の札には「蘇民将来之子孫也」(そみんしょうらいのしそんなり)と書かれています。また、「蘇民将来」と記された御札(おふだ)は、おもにスサノオを祀る神社で授与されており、「蘇民将来之子孫也」と書いた札を貼っている家も少なくありません。
蘇民将来呪符木簡はどんなもの?
蘇民将来呪符木簡(そみんしょうらいじゅふもっかん)は、京都府長岡京市の開田四丁目で出土しました。木の札に墨で文字が書かれた、いわゆる木簡と呼ばれるものであり、表と裏に「蘇民将来之子孫者」(そみんしょうらいのしそんもの)とだけ書かれていることから木簡のなかでも呪符木簡に分類されます。
木簡は長さ2.7センチ、幅1.3センチ、厚さ0.2センチと非常に小さいのが特徴です。木簡の上部には小さな穴が開けられ、ペンダントのように身に付けていたと考えられます。表と裏に「蘇民将来之子孫者」と同じ文字が書かれているのは、札が裏返っても効果が失われないためであり、御守(おまもり)として作られたことを示しています。また、木簡には木釘(きくぎ)が打ち込まれており、御守として利用された後も、建物の壁などに打ち付けられ御札のように使われていたと考えられます。
■ 蘇民将来呪符木簡(そみんしょうらいじゅふもっかん)の写真・表裏
長さ2.7センチと非常に小さいのが特徴で、上部には小さな穴が開けられています
■ 蘇民将来呪符木簡(そみんしょうらいじゅふもっかん)の図面・表裏
■■「蘇民将来呪符木簡の解説パンフレット」をダウンロードできます。