恵解山古墳(いげのやまこふん)の概要
恵解山古墳は、古墳時代中期(今から約1600年前)に造られた前方後円墳です。古墳の大きさは全長128m、後円部の直径約78.6m、前方部の幅約78.6mで、乙訓地域最大の規模を有しています。古墳の周囲には幅約25mの浅い周濠(しゅうごう)があり、周濠を含めた古墳の全長は約180mに及びます。
築かれた当時は斜面全体に石が葺(ふ)かれ、平らなところには埴輪(はにわ)が立て並べられていました。古墳に葬られた人物の名前は記録に残っていませんが、古墳の大きさなどから少なくとも乙訓地域の全域を支配した実力者の墓であったと考えられます。
恵解山古墳では、昭和55年、墓地拡張工事の際に前方部の中央付近からで鉄器が出土し、長岡京市教育委員会が緊急調査を行いました。調査の結果、鉄製の武器(大刀146点前後、剣11点、槍57点以上、短刀1点、刀子10点、弓矢の鏃472点余り、ヤス状鉄製品5点)など総数約700点を納めた武器類埋納施設が発見されました。古墳からこのように多量の鉄製武器が出土した例は京都府内にはなく、全国的に見ても非常に珍しく貴重であることから、恵解山古墳は昭和56年10月国史跡に指定され、鉄製武器などの出土品は平成11年に府指定文化財に指定されました。
このように、郷土の貴重な遺産である恵解山古墳を後世に伝え、まちづくりに活用するため、長岡京市では恵解山古墳の復元整備が計画され、平成15年から平成25年まで保存整備に向けた発掘調査が実施されました。当センターが行った発掘調査では、古墳本来の形や造り出しの存在、埴輪列や水鳥形埴輪の発見など、恵解山古墳の築造時の姿が明らかになりました。
そして、埴輪列や葺石などの復元整備工事が完了した平成26年秋、恵解山古墳公園として開園しました。現代に甦った恵解山古墳を是非訪れてみて下さい。