走田古墳群(はしりだこふんぐん)

古墳の場所 長岡京市奥海印寺走田、奥ノ院、明神前
(長岡第五小学校の北、走田神社・寂照院境内地)
古墳の時代 古墳時代後期末
古墳の概要 走田神社から寂照院にかけての南斜面を中心に広がる古墳群。8〜10号墳が発掘調査によって発見された。なかでも、9号墳の横穴式石室は残りが良く、玄室内には組合せ式家形石棺の部材が残されていた。9号墳は現在、寂照院本堂の背後に保存されている。

 


走田古墳群の場所
走田古墳群の場所 長岡京市遺跡地図第5版から(長岡京市教育委員会提供)

調査前の状況 走田古墳群第1次調査
写真中央の木の根本付近から走田9号墳が発見されました。

8号墳の横穴式石室 走田古墳群第1次調査
8号墳は横穴式石室の奥壁と東側壁の一部が残されていました。

9号墳の横穴式石室 走田古墳群第1次調査
9号墳の横穴式石室は、玄室が長さ約3.1m、幅1.8m前後、高さ2.3m程度、羨道は長さ2.3m以上、幅約1.5mの規模を持っています。

9号墳の石棺 走田古墳群第1次調査
9号墳の玄室には組合せ式家形石棺の底石と短側石が残されていました。石棺の石材は加古川流域(現在の兵庫県南西部)から運ばれてきたものです。

9号墳の石棺 走田古墳群第1次調査
石棺の底石、短側石には、石材を組み合わせるための段や溝が彫り込まれています。

9号墳 走田古墳群第1次調査
9号墳の背後に広がる森の中にも古墳が点在していますが、未調査のため詳細は分かりません。

9号墳 横穴式石室の排水溝 走田古墳群第1次調査
9号墳の横穴式石室には礫敷と排水溝が施されていました。

9号墳 横穴式石室の排水溝 走田古墳群第1次調査
石室内の礫を完全に除去した状況です。

陶棺の出土状況 走田古墳群第1次調査
8号墳と9号墳の間の傾斜地から須恵質陶棺の破片が多数出土しました。

10号墳 走田古墳群第3次調査
10号墳は、8・9号墳から東へ40m程の場所で横穴式石室が見つかりました。

10号墳の横穴式石室 走田古墳群第3次調査
10号墳の横穴式石室は、玄室の長さ2.4m程度、幅1.5mと推定されています。床面には礫敷、排水溝が施されていました。

 

■参考資料

「古墳時代(走田古墳群)」『長岡京市史』資料編1(1991)
「走田古墳群第1次調査」『長岡京市文化財調査報告書』第36冊(1997)
「走田古墳群第3次調査」『長岡京市文化財調査報告書』第39冊(1999)